サスティナブルな食と農の未来を考えるシンポジウム
サスティナブルな食と農の未来を考えるシンポジウム

食糧危機や地球環境問題が緊迫度を深める中、日本の農業が危機に瀕しています。自給率の低下、農業就労者の減少、農地の減少、急増する経営破綻、食の安全性の危機など切迫した問題に直面しています。

大規模化・集約化、スマート農業、有機・無農薬農業、循環型農業、地産地消など、様々な立場や主張がある中、農業の行く末は混沌としています。

一方、もれなく食の消費者である私たちは、最終的な食の選択権を持っています。身体にいい美味しいものを食べる。一人一人の食の意識が農の方向性を決めると言っても過言ではありません。

食と農は分断していると言われます。それは、生産と消費の分断であり、都市と地方の分断でもあります。

これからの食と農業や農的な活動は、それらをつなぐ大事な役割を期待されています。そこに新たなビジネスが多く生まれる可能性があります。

生産者と消費者の垣根を取り払い、お互いが尊重しあい、自由にその立場を行き来できれば、既存の概念にとらわれない多様な新しい農の形が生まれることでしょう。

今後の農業が進む方向は、資本主義の行く末を占う意味でも重要です。大企業、ベンチャー企業、農家、行政、NPO、消費者が、今この時期、それぞれの立場から、サステナ時代のあるべき食と農のあり方を議論することはとりわけ重要だと考えます。 

多彩多様な登壇者により、多角的に農業全般やオーガニック農業などの最新事情をお伝えします。

各登壇者の講演に加え、対談形式のディスカッションなども交えて議論を行います。

登壇者紹介

経済アナリスト

 森永 卓郎 氏 【 オープニングメーセージ(録画)】

1957年東京都出身。東京大学経済学部卒。獨協大学経済学部教授。

地元埼玉県所沢市でマイクロ農業を実践し、その有用性を訴える。

昨年11月より膵臓癌で闘病中。最近の著書に『ザイム真理教 それは信者8000万人の巨大カルト』『書いてはいけない』など。農業関係の著書として『「マイクロ農業」のすすめ』『国民は知らない「食糧危機」と「財務省」の不適切な関係』(共著)。

東京大学大学院農学生命科学研究科 特任教授

鈴木 宣弘 氏 【 基調講演 】

1958年三重県出身。東京大学農学部卒業後、農林水産省入省。九州大学大学院教授を経て、2006年から東京大学大学院農学生命科学研究科教授。2024年から同特任教授。食糧安全保障推進財団理事長を兼務。FTA産官学共同研究会委員、食料・農業・農村政策審議会委員、財務省関税・外国為替等審議会委員、経済産業省産業構造審議会委員、コーネル大学客員教授などを歴任。日本の食糧安全保障の第一人者として食糧危機への対応を訴え続ける。著書に『食の戦争』『農業消滅』『世界で最初に飢えるのは日本』など。共著に『国民は知らない「食糧危機」と『財務省』の不適切な関係』。

イオンアグリ創造株式会社 代表取締役社長

福永 庸明 氏

1969年兵庫県出身。 ウエルマート株式会社(現:株式会社フジ)を経て、2009年にイオンアグリ創造株式会社 生産本部長兼管理本部長に就任し、2012年より代表取締役社長就任。現在、北海道から九州にかけて21箇所、約400ヘクタールの直営農場と約70箇所のパートナー農場から、年間およそ100品目の農産物を生産しイオングループ各店舗に供給・販売する。同社が運営するイオン農場は世界基準の農業生産工程管理(GLOBAL G.A.P.)に基づき運営されており、お客さまに安全・安心な農産物を届ける。また、有機JAS認証を取得した5農場で生産されたオーガニック農産物は、イオンのプライベートブランド「トップバリュグリーンアイ」として展開する。夢は、農業を若者が憧れる職業になるような産業に育てること。

株式会社雨風太陽 代表取締役

高橋 博之 氏

1974年、岩手県花巻市生まれ。青山学院大卒。 代議士秘書等を経て、2006年岩手県議会議員に初当選。翌年の選挙では2期連続のトップ当選。震災後、復興の最前線に立つため岩手県知事選に出馬するも次点で落選、政界引退。2013年NPO法人東北開墾を立ち上げ、地方の生産者と都市の消費者をつなぐ、世界初の食べもの付き情報誌「東北食べる通信」を創刊し、編集長に就任。2015年当社設立、代表取締役に就任。

千葉県いすみ市農林課有機農業推進班 班長

鮫田 晋 氏

サーフィン好きが高じ、海の近くに住みたいと東京で勤務していた会社を辞め、外房のいすみ市(旧岬町)職員に転職。農業に接点はなかったが、環境保全と経済の両立を目指す太田洋市長の命を受けて有機栽培の導入にのめり込み、全国でも先進的な取り組みとして注目を集める有機米使用の小中学校給食導入100%を実現させたこの分野のトップランナー。全国から視察が絶えない。現在は、たまねぎや人参など有機野菜の学校給食導入にも取り組む。いすみ市の成功は社会的に大きな影響を与え、その後、全国各地で有機米や有機野菜を学校給食に導入する動きが拡大しつつある。

株式会社えと菜園 代表取締役 NPO法人農スクール代表
慶應義塾大学 環境情報学部 特別招聘准教授

小島 希世子 氏

1978年、熊本県出身。慶應義塾大学を卒業後、有機野菜の卸売り会社勤務などを経て、熊本県の農家直送の通販サイト「えと菜園オンラインショップ(現在)」を立ち上げる。2009年に法人化し、神奈川県藤沢市で、自然栽培・自家採種が楽しめる体験農園・貸し農園「コトモファーム」を開設。新規就農者向けに「農起業講座」も開設。2009年よりホームレスや引きこもりなど、生きづらさや働きづらさを抱えた人のために「就農支援プログラム」を展開し、2013年にNPO法人農スクールとして法人化する。夢は「農業で幸せになること。」著書に『ホームレスや引きこもりが人生を取り戻す奇跡の農園』『一人で始める小さな農園―無農薬で楽しむ家庭菜園のコツ』など。

株式会社菌ちゃんふぁーむ 代表取締役
NPO法人大地といのちの会 理事長

吉田 俊道 氏

1959年、長崎市出身。九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県庁の農業改良普及員になる。1996年、県庁を退職し、有機農家として新規参入。1999年、佐世保市を拠点に「大地といのちの会」を結成し、生ごみまたは草・竹・木だけを使った自然農法「菌ちゃん野菜づくり」を提唱し、全国に旋風を巻き起こす。土の中で微生物と野菜がつながることで、生命力溢れる美味しい野菜が育ち、それを食生活に応用すれば、身体と地球の生命力がつながり健康になるという独自の理論に対し、全国から講演や実演依頼が殺到する。著書に『野菜作り 人間つくり』『図解でよくわかる菌ちゃん農法―微生物の力だけで奇跡の野菜づくり』など。

株式会社マイナビ 地域活性CSV事業部 事業部長

横山 拓哉 氏

北海道出身。2007年マイナビ入社。就職情報事業本部にて国内外大手300社以上に採用支援を実施。2018年より地域創生事業の立ち上げを担い、同年、日本で初めての国道を生かした実証実験バスタマーケットで地域の食材を一堂に集めマルシェを展開し地域活性化に寄与。2021年10月より「マイナビ農業」を運営する地域CSV事業部にて従事。2023年4月より事業責任者として「農業をもっと近く、もっと楽しく」を身上に、農業振興に寄与すべく奔走している。

株式会社アイクリエイト 代表取締役 
スモールファーマープロジェクト主宰

粟田 あや 氏

神戸市出身、広島大学卒。 化粧品メーカー、経営コンサルティング会社、リクルートを経て、株式会社アイクリエイトを設立。企業、NPOなど幅広く、サスティナビリティを意識したブランディング、PRのサポートを行う。2020年より、東京と八ヶ岳の2拠点生活を始め、自然共生型の畑づくりにチャレンジしながら、体験型ワークショップを運営する。自身が体験したライフスタイル転換での自然からの学びを多くの人に共有したいと活動中。

ワタミオーガニックランド株式会社 取締役 顧問 
陸前高田しみんエネルギー株式会社 代表取締役

小出 浩平 氏

1964年、埼玉県出身。中央大学卒業後、戸田建設入社。ミスミグループ、ワタミグループを経て、2014年、ワタミエコロジー代表取締役就任、2015年から電力小売事業に参入し、うすきエネルギー、陸前高田しみんエネルギーの代表取締役就任。2019年、被災地岩手県陸前高田市にオーガニック・命をテーマとする環境循環型の農業テーマパーク事業のためのワタミオーガニックランド株式会社を設立、代表取締役として2021年4月に一部オープンさせた。現在、取締役顧問として長期的な事業展開を担当、20年という年月をかけ壮大な実験に取り組む。他に戸田建設の顧問として環境・地方創生事業に取り組む。

有機・無農薬栽培農家 みやもと山 代表

齋藤 超 氏

1986年、千葉県出身。千葉県北東部の匝瑳市で1300年続く米農家の出身。一度は音楽を志して東京へ出たものの、「食べる」ことの大切さに気付きUターンを決意し、父親の代から始まった無農薬栽培のバトンを受け継ぐ。農薬不使用の米や大豆、梅、野菜の栽培を行う傍ら、味噌、麹、梅干しなどの発酵食品などを作り、自社生産、商品加工、販売までを一貫して行う6次産業スタイルを取り入れる。オーナー参加型の大豆トラスト畑の活動に力を入れ、消費者と一体となって国産有機大豆の生産に取り組む。既存農業より土中環境の向上、炭素貯留が可能な不耕起有機栽培の機械化による省力作業に興味がある。日本スローフード協会代表の夫人とともにスローフード運動にも参加している。

ロアジスジャパン株式会社 代表取締役・CEO

岡田 雅子 氏

神奈川県出身。カナダ→メキシコ→ドイツなど海外を放浪。現在は神奈川と長野の2拠点生活。早稲田大学大学院修了(MBA)、立教大学大学院修了(MBA)。2003年教育関連事業の起業を経て、2010年、早稲田大学大学院在学中に日本初オーガニックペット商品を扱う会社を起業。自社で有機農業に挑戦。保護犬2頭、大型犬1頭と過ごす時間と食べることが大好き。

早稲田大学大学院経営管理研究科 教授

東出 浩教 氏

慶應義塾大学経済学部卒業。鹿島建設に入社後、ロンドン大学インペリアルカレッジ修士課程修了(MBA)。同大学大学院博士課程修了、日本初となるベンチャー研究における博士号(PhD)を取得。2006年より早稲田大学ビジネススクール教授。専門は、起業、ベンチャーキャピタル、クリエイティブ・プロセスなど。編著に『ガゼル企業 成長の法則』『起業原論 成長する起業家の行動、戦略作りと資金調達』など。

開催概要

開催日時

2024年5月18日(土) 13:00 ~ 17:15 (開場12 : 15)

開催場所

早稲田大学国際会議場 井深大記念ホール ※配信はございません

対象
一般、学生、農業関係者、企業関係者、行政関係者など
参加費

無料

主催

早稲田大学ソーシャルアントレプレナー研究会


サスティナブルな食と農の未来を考えるシンポジウム実行委員会

プログラム(予定)

13:00〜

開会挨拶

 

 オープニングメッセージ

 経済アナリスト   森永 卓郎 氏 (録画)

13:05〜

基調講演  『これから来る食糧危機の話をしよう』

東京大学大学院農学生命科学研究科 特任教授 鈴木 宣弘 氏

13:55〜

サスティナブルな食と農業
―企業・ビジネスの役割と可能性

講演 イオンアグリ創造が目指す持続可能な農業

イオンアグリ創造株式会社 
代表取締役社長 
福永 庸明 氏

講演 『都市と地方をかきまぜる 

株式会社雨風太陽 代表取締役 
高橋 博之 氏

講演 『岩手県陸前高田市ワタミオーガニックランドの夢

ワタミオーガニックランド株式会社 
取締役顧問 
小出 浩平 氏

トークセッション

コーディネーター:
早稲田大学大学院経営管理研究科 
教授 
東出 浩教 氏

15:10〜

消費者の視点で考えるサスティナブルな農業の現実と課題

講演 『学校給食と連携した公民協働の有機農業産地づくり

千葉県いすみ市農林課有機農業推進班 班長 鮫田 晋 氏

講演 『無農薬農業で6次産業化に取り組む

有機・無農薬栽培農家   齋藤 超 氏 

講演  『農を食と職に〜小さな農園から始める未来への挑戦」

株式会社えと菜園代表取締役・NPO法人農スクール代表理事  小島 希世子 氏 

講演 『1億総スモールファーマー化でライフスタイルをシフトする』

株式会社アイクリエイト 代表取締役 
粟田 あや 氏

トークセッション

コーディネーター:株式会社マイナビ地域活性CSV事業部 事業部長 横山 拓哉 氏

16:30〜

サスティナブルな農と食が導く地域・地球・ライフスタイル

講演 『菌ちゃん農法が教える自然と身体の循環』

菌ちゃんふぁーむ代表取締役/NPO法人大地といのちの会代表理事 吉田俊道 氏

17:10〜

閉会挨拶

会場アクセス

早稲田大学国際会議場 東京都新宿区西早稲田 1-20-14
  • JR 山手線/西部新宿線 高田馬場駅 徒歩20分
  • 都営バス(学バス) 高田馬場駅~西早稲田 徒歩3分
  • 地下鉄東西線 早稲田駅 徒歩10分
  • 都電荒川線 三ノ輪駅~早稲田 徒歩5分